今回は「神様と動物や生きものとのかかわり」についてお話をおうかがいしました。
昔から身近な動物や生きものが神様とのかかわりを持ちながら人々の生活に影響を及ぼしている例をいくつかお話いただきました。
1.まず宇野先生が宮司を務められている小槻大社の神様の使いは兎(うさぎ)です。
小槻大社にまつられている神様は大国主命(おおくにぬしのみこと)であり、白うさぎを助けた因幡(いなば)の白うさぎ伝説から兎が神様の使いとして伝承されています。神社の境内には正面から見た真向きの兎が置かれていますし兎をデザインしたお守りもあります。
2.守山市のつぶ江神社…つぶとはタニシのことで、地元では「おつぶさん」と呼ばれている神社です。タニシは昔の人々の栄養源であったけれど、地元の人はタニシを一切口にしません。というのは江戸時代の中ごろ野洲川が氾濫した時、タニシが神輿にいっぱいくっついて社殿が流されていくのを守ったという言い伝えがありタニシが大切にされています。水田耕作が盛んなところでタニシとともに暮らしてきたことから生まれてきた伝説で、地元ではタニシを食べるとおなかを壊すと信じられています。
3.安曇川河口の北船木の集落…簗(やな)を仕掛けて鮎をとり、その鮎は全国の川に放流されてそこで大きく成長します。この地は平安時代から京都・上賀茂神社の社領であり1000年以上にわたってとれた鮎を神社に献上してきました。神事では祝詞(のりと)の中で「船木の漁民たちは平安時代から魚を納めていました」と神さまに申し上げています。
4.安曇川流域のシコブチ神社…シコブチ大明神が祀られたシコブチ神社は流域にいくつもあり日本遺産に指定されています。シコは恐ろしいという意味でブチは川の淵のことです。安曇川では山で伐採した材木をいかだに組んで運ぶいかだ流しが奈良時代から盛んに行われ奈良のお寺などを建てるのに使われました。川には河童(カッパ、ガタロウ)のような恐ろしい生き物が住むという伝承があり、シコブチの神様がいかだ乗りの守り神として信仰されてきました。
滋賀県は古い伝承とか生きものにまつわる話が残っている歴史文化の深い地域であり、身近な生きものであるだけに人々と深くかかわりを持ってきました。
「歴史のなぞ」次回は7/29(木)にお送りする予定です。どうぞお楽しみに…