毎月第1木曜10時台の「くさつ歴史こぼれ話」の時間には
草津宿本陣と草津宿街道交流館の館長 八杉淳さんにお越しいただきました。
前回の「江戸時代に旅ブームが起こった理由」 の続きからお話をおうかがいしました。
実際に旅に出て村へ帰ってきた人から話を聞くことで、 人々は自分も行ってみたいと旅心がかきたてられます。
当時一番の旅の目的は「お伊勢参り」で、 道中の食べ物や泊まった所の話が口コミで伝えられました。
また道中案内記など江戸時代の旅のガイド本もたくさん出版され、 一般庶民の旅へのあこがれは江戸時代の中頃からだんだん広がって 大きなブームになっていきます。
旅に出るためにはまず道中手形(往来手形)という証文を、 自分の村の庄屋やお寺に書いてもらうことから始まります。
これは「自分がどこの誰でどんな目的でどこへ旅をするのか」 を証明するもので、関所を通るために必要でした。
お伊勢参りのような信仰の旅であれば道中手形を書かざるを得ない ので、それを名目に誰でも旅に出られるようになりました。
ただ村からほとんど一歩も出たことがない人たちが旅に出るわけで 、 言葉や食事の味付けなども違ってくることから旅への大きな不安も ありました。
当時出版された「旅行用心集」 という本には旅の準備や旅先で気をつけることなど旅の心得61カ 条が書かれ、 たとえばできるだけ荷物をコンパクトにするための工夫なども紹介 されていました。
道中手形の証文の一番最後には「 もし旅先で亡くなったとしてもその土地のしきたりに従って葬って もらえばよい。国もとまで送り届けなくてもよい」 という一文が書いてあり、 当時の旅は今のように安全な旅ではないということがわかります。
家族とは最後の別れになるかもしれないという万が一のことを覚悟 しながらの旅立ちだったようです。
「くさつ歴史こぼれ話」次回は10/1(木) 10時台にお送りする予定です。
どうぞお楽しみに…