6/29(木)モニロケ785は高橋さゆりと北村美和でお送りしました。
第5木曜日10時台は「歴史のなぞ」
栗東市小槻大社と草津市小汐井神社の宮司を務められる宇野日出生さんにお話をお伺いしています。
今回はお祭の現状やこれからの展望についてお話いただきました。
昔の生活とお祭り
昔と今ではお祭の楽しさが全然違っています。
昔 日本の大多数が農民だった時代、農作業はすべて手で行う重労働であり厳しい生活を送っていました。
そんな暮らしの中での楽しみといえばお祭やお盆、年末年始ぐらいの非常に限られたものでした。
また医学の技術はほぼゼロに等しく、病気になると自然に治らない限り亡くなるか、病気を一生引きずって生きていくしかしかなく、生活の厳しさが健康に直結していました。
たとえば平安時代の貴族の平均寿命は男性31歳女性27歳だったと言われ、貴族ですらその短さだったのだから農民はもっと短かったのだろうと想像できます。
時代が進んで太平洋戦争のころでも平均寿命は50歳くらいだったようです。
そんな生活の中で人々は「病気が治るように…長生きできるように…」と神社やお寺で祈り、誰もが暮らしの安寧を宗教に求めていました。
だから神社やお寺は身近な強い絆を持った場所であり、そこで行われるお祭はみんなにとって最大に楽しいものでした。
生活の中にお祭があって人々は一生懸命お祭を行ってきました。
現代とこれからのお祭りの在り方
今は生活とお祭は切り離され、逆にお祭は大変なもの負担となるものと考えられて、お祭に楽しさを求める度合いが昔とは全然違っています。
少子高齢化が進んだ今の日本ではお祭の存続に大きなひずみが出てきています。
子どもには神が宿ると考えられて、お祭は子どもが主役のことも多いのですが少子化で数が減っているうえ、子どもも忙しくお祭のけいこがなかなかできません。
また昔と違って重い荷物を肩で担ぐ習慣がないので非常に重いお神輿を担ぐことが大変になり、お祭がだんだんできなくなりつつあります。
お祭は徐々にではなく突如として無くなってしまうものなので、絶やすことなく毎年続けて今の形を次に伝えていくことが大切です。
去年11月に「近江湖南のサンヤレ踊り」として草津のサンヤレ踊りと栗東の小杖祭りがユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、このことはお祭をみんなが振り返るいい機会であり、形は違っても日本人の歩んできた歴史や文化を伝えてつないでいくきっかけになるのでは…と語られました。
「歴史のなぞ」次回は8月第5週の8/31(木)10時台にお送りする予定です。どうぞお楽しみに…