5/2(木)モニロケ785木曜日は高橋さゆりと三井麻莉子が担当しました。
毎月第1木曜10時台の「くさつ歴史こぼれ話」の時間には草津市歴史文化活用調整員の八杉淳さんにお話をおうかがいしています。
竹根鞭とは?
今回は草津の名産である竹根鞭(たけねむち)についてお話いただきました。
竹根鞭とは竹の根の部分で作られた鞭のことで、節が短い間隔でたくさんありまっすぐに伸びたものが使われました。
草津では平安時代から馬のムチとして作られていて古い歴史があります。
江戸時代には参勤交代の大名一行がお土産に買い求めたので、草津の特産品として全国にその名を広めていきました。
やがて明治時代になると馬のムチの需要はなくなりますが、新たな展開を迎えます。
明治の初め英語教師として来日したジェームス グリーンが竹根で作られたステッキに感動して、イギリスでも販売するように勧めました。
草津の矢倉に住む木村熊次郎が輸出し始めましたが、そのステッキは珍しい東洋の手工芸品としてヨーロッパの人々にも愛用されるようになります。
明治「大津事件」と草津矢倉の竹根
そんなとき明治22年5月11日にお隣の大津で「大津事件」が起こりました。
大津事件とは歴史の教科書にも必ず登場する当時の日本を揺るがせた大事件です。
日本を訪問していたロシアのニコライ皇太子が人力車に乗って東海道かつての大津宿内を進んでいたところ、警護にあたっていた巡査の津田三蔵が突然サーベルで切りつけケガを負わせます。
そのとき一緒にいたギリシャのジョージ王子が手に持っていたステッキで犯人を打ちつけ取り押さえた…というのが大津事件です。
犯人を打ち倒した「ステッキ」実は事件の直前に一行が訪問した滋賀県庁で買い求めたもので、草津矢倉の竹根で作られたステッキだったのです。
この事件がヨーロッパに知れ渡ると、犯人を打ち倒してニコライ皇太子の命を救ったステッキに注目が集まり注文が殺到します。
竹根のステッキはイギリス紳士の愛用品として広まり、ロンドンへ大量に輸出されました。
ロンドンではこのステッキを矢倉の生産者 木村熊次郎の名前を取って「キムラ」と呼んでいました。
竹根のステッキでもう一つ有名なのは、映画界の大スターチャップリンの話です。
チャップリンのトレードマークといえば山高帽に口ひげとダブダブのズボンやステッキ…といったところですが、彼が愛用していたあのステッキも矢倉の特産品でした。
教科書で習った大津事件と映画スターチャップリンが草津産の竹根のステッキでつながっています。
「くさつ歴史こぼれ話」次回は6/6(木)の10時台にお送りする予定です。どうぞお楽しみに…