2/6(木)モニロケ785木曜日は高橋さゆりと三井麻莉子が担当しました。
毎月第1木曜10時台の「くさつ歴史こぼれ話」の時間には草津市歴史文化活用調整員の八杉淳さんにお話をおうかがいしています。

今回は名所図会(めいしょずえ)についてお話いただきました。
名所図会とは
名所図会は木版刷りの技術で生まれた冊子で、文字や絵の線を黒で刷っています。
印刷物なので一つのものが大量に世に出回り、安く手に入るようになりました。
一番最初に作られたのが安永9年(1780)の「都名所図会」で、京の都の名所や名物をさし絵入りで紹介しています。
見開きの大判(B5の大きさ)で京の版元から出版され大評判となりました。
大判のさし絵入り名所図会は売れる…ということで次々と出版されます。
「東海道名所図会」では京の三条大橋から江戸の日本橋までの名所旧跡をさし絵入りで紹介しています。
当時の名所とは風光明媚な所に加えて、平安時代や鎌倉時代に歌に詠まれている所も登場しています。
草津はうばがもちや、矢橋の渡し場、草津川の風景、野路の玉川が描かれています。
「木曽路名所図会」は京の都から中山道を通って江戸までの名所旧跡を紹介しています。
京から草津までは東海道なので詳しくは描かれていません。
「伊勢参宮名所図会」はお伊勢参りをする人に向けて、京の三条大橋から鈴鹿峠を通って伊勢までが描かれています。
草津は東海道名所図会と同じ所が紹介されています。
「近江国名所図会」では近江国内の東海道や中山道の名所旧跡だけでなく湖北や湖西も入っています。
同じ所は木曽路や伊勢参宮の名所図会の版木をそのまま転用しています。
名所図会の特徴
名所図会のさし絵の特徴は遠景から俯瞰(ふかん)したような構図であることと、視点を近づけて人物を大きく描いていることの2つにあります。
街道を行きかう旅人のさし絵を見て「自分も行ってみたい食べてみたい」と興味を惹かれ、多くの人が旅に出るようになります。
名所図会は大判なので、持ち歩けるように着物の袖に入る大きさの袖珍(しゅうちん)と呼ばれる道中案内記も出版されました。
こうした出版物で人々は多くの情報を得ることができ、江戸時代の旅の原動力となりました。
「くさつ歴史こぼれ話」次回は3/6(木)の10時台にお送りする予定です。どうぞお楽しみに…